タイトル「2016年度危機管理学部」、フォルダ「2016年度危機管理学部 - 危機管理学部
シラバスの詳細は以下となります。
科目ナンバー   RMGT1301 
科目名   危機管理学概論Ⅰ  
担当教員   福田 充   
対象学年   1年   開講学期   前期  
曜日・時限   月2  
講義室   1310   単位区分   必  
授業形態   講義   単位数  
授業概要・キーワード 自然災害や大規模事故,テロ,国際紛争,サイバー攻撃,感染症のパンデミックなどの危機事態が発生した場合に,どのような危機管理の対応が必要となるか,危機管理のあり方について学ぶ危機管理学の入門的な科目である。
危機管理学を構成する①災害マネジメント領域,②パブリックセキュリティ領域,③グローバルセキュリティ領域,④情報セキュリティ領域を中心に,オールハザード・アプローチによる危機管理学の研究領域や研究方法について学ぶ。リスクマネジメントとクライシスマネジメントの両面から多様な危機をとらえ,それを法学的なアプローチから研究することの意義について考察し,リーガルマインドとリスクリテラシーの両面を身につける。
(キーワード)・危機管理  ・リスクリテラシー  ・リーガルマインド
 
授業の目的 危機管理学の基礎的素養と多角的視座を身につける。危機管理学の対象となる社会問題を認識し,危機管理学の研究方法とアプローチについて理解することを目的とする。リスクリテラシーとリーガルマインドを涵養するための前提となる基礎的知識を身につけ,2年次以降のキャリア選択,領域選択のための判断に役立てる。  
到達目標 危機管理学に関わる基礎的な知識や概念を修得し,危機管理学部のカリキュラム全体を自力で理解でき,将来のキャリア形成や研究テーマに向けた各自の学習目標を計画できるようになること。さらにはその目標に向けた学習を意欲的に行う態度を身につけること。  
履修条件 必修のため特になし。  
成績評価の方法 以下の方法で総合的に評価する。
授業内の課題レポート(2回):20%
リアクションペーパー(3回):30%
授業参加度:20%
期末レポート:30%
 
授業区分
内容
1(概要) ガイダンス
(内容) 授業のテーマや内容,スケジュール,評価方法について説明を行う。危機管理学を学ぶための心構え,学習方法や研究方法についても指導する。 (運営方法)講義
(予・復習)予習:なし
     復習:講義ノートを確認して,前期の履修科目について検討する。
2(概要) 危機とはなにか
(内容) 危機管理学を学ぶにあたって,最初に危機管理学の対象となる危機をどう定位するか,危機の諸相を具体的に提示し,危機管理学部が研究対象とする危機について説明する。危機にはリスク,クライシス,ハザードなど多様な概念が存在するため,それらの概念を整理しながら,危機に関する思想や理論について理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 教科書『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)の1章を読み,自然災害を中心に震災における危機について考察する。
      復習: 講義ノートを確認して,新聞記事やテレビニュースをみながら,危機管理学の対象となる社会問題をについて調べる。
3(概要) 危機管理の考え方(「オールハザード・アプローチ」)
(内容) 日本大学危機管理学部が構想する危機管理学が対象とする危機事態は多様である。このように社会に存在する多様な危機事態を対象とした研究手法をオールハザード・アプローチという。そのオールハザード・アプローチに基づいた危機管理学が研究対象とする研究領域には,①災害マネジメント領域,②パブリックセキュリティ領域,③グローバルセキュリティ領域,④情報セキュリティ領域の4領域がある。これらの領域の構造とオールハザード・アプローチの意義について理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習)予習: 参考書『リスク・コミュニケーションとメディア~社会調査論的アプローチ』(北樹出版)の序章と1章を読み,リスクの多様性について考察する。
      復習: 講義ノートを確認して,4領域に関連する危機事態でこの1年間に発生した事件・事故について調べる。
4(概要) 「リスクマネジメント」と「リスクコミュニケーション」
(内容) 危機管理学について研究するために必要な基礎概念のうち,もっとも重要な概念や理論となるリスクマネジメントとリスクコミュニケーションについて考察する。危機管理において,リスクマネジメントについて危機を事前に管理して予防する側面ととらえ,そのために必要な社会的コミュニケーションの過程をリスクコミュニケーションと位置づけ,防災や減災の観点から理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 教科書『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)の2章を読み,リスクコミュニケーションについて考察する。
復習: 講義ノートを確認して,身の周りに発生している危機におけるリスクコミュニケーションの事例を調べまとめる。
5(概要) 「クライシスマネジメント」と「クライシスコミュニケーション」
(内容) 危機管理において,クライシスマネジメントについて危機が発生したあとの事後対応としてとらえ,そのために必要な社会的コミュニケーションの過程をクライシスコミュニケーションと位置づけながら,事後的な危機管理の観点から理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 教科書『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)の3章を読み,クライシスコミュニケーションについて考察する。
       復習: 講義ノートを確認して,実際に世界で発生した危機がどのように事後対応されたか,クライシスコミュニケーションの事例を調べまとめる。
6(概要) 「セイフティ」と「セキュリティ」
(内容) 危機管理学で重要となる概念に,セイフティとセキュリティがある。原子力災害などを事例に,セイフティとセキュリティにはどのような概念の違いがあるのか,危機管理学においてなぜこの概念を区別する必要があるのか,具体的に考察する。セイフティの観点と,セキュリティの観点から危機管理学のあり方を理解することを目的とする。
 講義前半のまとめとして,レポート課題を出題し,提出する。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 参考書『リスク・コミュニケーションとメディア~社会調査論的アプローチ』(北樹出版)の2章を読む。
       復習: 講義ノートを確認して,近年発生した社会的危機に関して,何がセイフティの問題に該当し,何がセキュリティの問題に該当するか,事例を調べまとめる。
7(概要) 災害マネジメント領域: ①自然災害
(内容) 災害マネジメント領域で学ぶ,災害対策とはどのような危機事態を管理するもので,どのような対策があるかを考察する。災害マネジメントの中心となる,自然災害対策について検討する。東日本大震災などを事例として,自然災害対策における災害情報の問題,災害対策基本法などを中心とする災害関連の法制度について理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 教科書『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)の4章を読み,東日本大震災における災害マネジメントについて考える。
       復習: 東日本大震災における災害情報,災害報道について文献や資料を調べる。
8(概要) 災害マネジメント領域: ②大規模事故
(内容) 災害マネジメント領域で学ぶ,大規模事故対策,人為災害対策の事例として,原子力災害について考察する。福島第一原発事故などを中心として,原発事故対策における災害情報の問題,原子力災害対策特別措置法などを中心とする原発事故関連の法制度について理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 教科書『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)の5章を読み,福島第一原発事故における災害情報,災害報道について考える。
       復習: 福島第一原発事故における住民の避難行動や避難生活,風評被害について文献や資料を調べる。
9(概要) パブリックセキュリティ領域: ①治安・犯罪対策
(内容) パブリックセキュリティ領域が対象とする社会的危機について,特に治安・犯罪対策における危機管理の問題について考察する。具体的な事件を事例として,犯罪捜査や司法制度のあり方について,または地域の防犯対策の取り組みなどについて理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 犯罪捜査に関連する映画・ドラマを視聴する。
       復習: 講義ノートを確認して,現在社会問題になっている最近の犯罪事例を調べる。
10(概要) パブリックセキュリティ領域: ②テロリズム
(内容) パブリックセキュリティ領域において,重大な危機事態としてとらえられるテロリズムの問題について考察する。テロリズムとは何か,テロリズムが発生する原因は何か,テロ対策のあり方,インテリジェンスなどについて具体的に紹介する。テロリズムとメディアの問題,テロ対策における「安全・安心vs.自由・人権」の問題などを理論的かつ具体的に理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 映画『スカイフォール』『アルゴ』を視聴する。
復習: 参考書『テロとインテリジェンス~覇権国家アメリカのジレンマ』(慶應義塾大学出版会)の1章と5章を読む。
11(概要) グローバルセキュリティ領域: ①戦争・紛争
(内容) グローバルセキュリティ領域が対象とする国際問題にどういうものがあるか,それに対処する国際法や国際機関のあり方について,具体的に考察する。安全保障について,国家安全保障,国土安全保障,国際安全保障の観点から概念を整理するとともに,特にイラク戦争やシリア内戦など戦争・紛争の問題を事例としながら,グローバルセキュリティについて具体的に理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 現在世界で発生している紛争について,新聞記事や雑誌記事から調べる。
       復習: 戦争や紛争に関連する国際条約にどのようなものがあるか,研究文献やネットから調べてまとめる。
12(概要) グローバルセキュリティ領域: ②難民問題・環境問題
(内容) グローバルセキュリティ領域が対象とする国際問題には,環境問題や人権問題,難民問題などが含まれる。地球温暖化問題などの環境問題や,シリア内戦がもたらした難民問題にはグローバルな取り組みが不可欠である。難民問題や人権問題,環境問題について具体的な事例をもとに,危機管理学の観点から理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 国際的な取り組みが必要な環境問題にどのようなものがあるか,新聞記事や雑誌記事から調べる。
復習: 環境問題,難民問題に関連する研究レポート,報告書を調べて読む。
13(概要) 情報セキュリティ領域: ①組織の情報流出と情報管理
(内容) 情報セキュリティ領域が対象とする社会問題,事件にはどのようなものがあるか,特に政府や自治体,企業など組織における情報流出の問題について具体的に紹介しながら情報管理の対応策について考察する。ここではヒューマンエラーによる情報流出から,ハッキングやマルウェアなどサイバー攻撃による情報流出まで幅広い事例をもとに情報セキュリティの問題を理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: ここ1年間の間に発生した情報セキュリティに関連する社会問題,事件について新聞記事や雑誌記事から調べてまとめる。
復習: 情報セキュリティに関連する研究レポート,報告書を調べて読む。
14(概要) 情報セキュリティ領域: ②個人の情報流出と情報管理
(内容) 情報セキュリティ領域が対象とする社会問題,事件には,個人の情報管理の問題も含まれる。現代社会では,個人が利用するパソコン,スマートフォンなどからネットを通じて個人情報が流出するリスクがある。個人が行うべき情報管理のあり方について具体的に検討しながら,情報セキュリティについて考察すべき問題を理解することを目的とする。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 自分が利用しているパソコン,スマートフォンなどから個人情報が流出するリスクについて考える。
復習: 情報セキュリティに関連する研究レポート,報告書を調べて読む。
15(概要) 危機管理学概論のまとめ
(内容) 14回の授業での学びを総括し,危機管理学に関するまとめの考察を行う。
(運営方法) 講義
(予・復習) 予習: 講義ノートの全体を読み直す。
       復習: 危機管理学概論Ⅰの講義ノートを読み返し,後期の学びや2年次のキャリア選択,領域選択について考える。
関連科目  
教科書 福田充『大震災とメディア~東日本大震災の教訓』(北樹出版)。  
参考書 福田充『リスク・コミュニケーションとメディア~社会調査論的アプローチ』(北樹出版)。福田充『テロとインテリジェンス~覇権国家アメリカのジレンマ』(慶應義塾大学出版会)。その他は講義中に適宜紹介する。  
オフィスアワー 火曜日5限。メール等でアポイントメントをとること。  
領域比率:災害マネジメント 100%  
領域比率:パブリックセキュリティ 100%  
領域比率:グローバルセキュリティ 100%  
領域比率:情報セキュリティ 100%  
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