タイトル「2016年度危機管理学部」、フォルダ「2016年度危機管理学部 - (共通)
シラバスの詳細は以下となります。
科目ナンバー   RMGT/SSCS1106 
科目名   倫理学2  
担当教員   先﨑 彰容  
対象学年   1年   開講学期   後期  
曜日・時限   火1  
講義室   1205   単位区分   選  
授業形態   講義   単位数  
授業概要・キーワード 「倫理学1」を履修していることを前提に、「倫理学2」においても、継続的に私たちの生き方、価値観、死生観について「深く考えて」いきます。なぜ私たちは生きているのか、何を前提に世間や他人を肯定・否定しているのか――こうした普遍的な問題に直面したとき、倫理学が必要になってくるのです。特に、「倫理学2」においては、日本人で倫理学について考えた、過去の人びとの言葉を参考に、現代社会と私たち自身の生き方についてのヒントを得ることにしましょう。キーワードは、①  日本人の倫理思想、②  過去と伝統、③  自分らしさ  ④  反近代主義、そして⑤  国家です。  
授業の目的 「倫理学1」では、主に私たち自身と現代社会が抱える問題点を複数取りあげました。そのことを意識しつつ、本講義では、いったん過去に遡り、過去の思想家の言葉を知ることで、「現代社会を立体的・多角的にみる」ことが目的となる。日本人の発言の他、彼らが参照したドイツ・フランスの人びとの考えにも触れることで、「現代社会に安易に善悪の結論を下さず、深く考察」することが目的となる。  
到達目標 上記の目的を達成するために、次のような目標を定める。まず①  過去の人びとの言葉を正確に理解できるようにする。次に②  彼らが発言した過去の時代状況を知り、現代社会を立体的・多角的に見ることができるようになる。その結果、③  私たちが抱えている様々な諸問題ー個人的・国内的・国際的課題ーーについて、一喜一憂せず、独りよがりにならず、冷静に分析するメス=時代理解のための武器を手に入れることが最終目標である。  
履修条件 「倫理学1」を履修していることが望ましい  
成績評価の方法 評価基準は、①  授業態度20%  ②  授業内での簡易作文30%  に加えて、③  授業最終回におこなうレポート形式の小論文50%により、総合的に判断する。特に、③を重視するものとし、これを欠席した学生への単位認定は、原則おこなわない。  
授業区分
内容
1(概要)ガイダンス
(内容)授業内容の説明、スケジュール、および成績評価方法について説明を行う。「倫理学2」で学生諸君に求める到達目標なども、あらかじめ明示する予定である。
(運営方法)講義形式
(予・復習)初回につき特に無し。参考書等を手にとっておくことが望ましい。
2(概要)日本倫理思想史入門
(内容)「日本倫理思想史入門」と題し、歴史上の思想家・文学者が「倫理」をどう考え、それを当時の社会分析・時代診断にどう生かしていたのかを例示する。今後の授業運営がどのようなかたちで行われるかの、一例を示す講義となろう。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は特に求めない。復習は、講義で配布したプリントで取り扱う理論概念の内容を、もう一度見直しておくことが望ましい。
3(概要)明治倫理思想における「国家と人間①」――福澤諭吉と中江兆民
(内容)明治時代とは何なのか。なぜ、現代社会を生きる私たちにとって学ぶ必要があるのか。福澤諭吉と中江兆民という、名のみ知られ、ほとんど読まれていない思想家の文章を取りあげる。そのことによって、? 彼らの時代診察を知り、? 結果、彼らがどのような処方箋を時代に下したのか。? それは現代の私たちが生きる上で、何を投げかけるかを考察する。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、教員が指定した教科書? 『アフター・モダニティ』の該当部分を通読することを求める。
4(概要)明治倫理思想における「国家と人間②」ーー北村透谷と岡倉天心
(内容)明治時代も中期に入ると、時代の雰囲気は一変する。それは倫理思想にも変化をもたらした。北村透谷と岡倉天心という、馴染みの薄い人物たちが格闘した「課題」とは何か。それを知ることは、意外な程、21世紀を生きる君たち若者にとって身近なものとなるだろう。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、教員が指定した教科書? 『アフター・モダニティ』の該当部分を通読することを求める。
5(概要)明治時代の終焉と倫理思想――石川啄木と日露戦争
(内容)明治末期になると、「国家」よりも「個人」を重視する時代を迎える。そのとき、若者たちの心理に劇的な変化が産まれた。石川啄木という、中学校の国語教科書でしか見たことのない人物が、実はきわめて優れた時代診察の文章を遺している。それを読むことで、明治末期の倫理思想をまとめたい。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、教員が指示した教科書? 『アフター・モダニティ』の該当部分を読んでおくことを求める。
6(概要)大正時代の倫理思想①――三木清の「人間学」
(内容)大正時代に入ると、本格的な日本に独自の倫理学が登場する。その代表格のひとり三木清は「人間とは何か」をドイツ・フランスの哲学・倫理学を学びつつ確立した。第6回目となる講義では、広くヨーロッパ倫理思想まで見渡しつつ、日本の思想を見てみることにしたい。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、配布したプリントを熟読し、明治時代と大正時代それぞれの時代状況の違いと、倫理思想の変化を正確に腑分けすることが望ましい。
7(概要)大正時代の倫理思想②――和辻哲郎の「人間学」
(内容)大正時代に登場したもう一つの巨大な倫理学、和辻哲郎の倫理思想を検討する。夏目漱石門下の和辻は、『古寺巡礼』や『風土』などの著作をのこした独自の思想家であるとともに、著作『倫理学』・『日本倫理思想史』でも知られる、日本倫理学の巨人である。彼の生涯も追いかけながら、日本において最高度の達成である倫理学をまなび、私たちにとって「倫理」とは何かを深く、考えてみたいと思う。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、配布したプリントを再読することに加え、教員が指示した著作のうち一冊を選び、該当指示部分を精読することを求める。
8(概要)昭和期の倫理思想①――和辻哲郎の「倫理学」
(内容)「和辻倫理学」とも呼ばれる巨大な足跡は、大正時代を超えて、戦争へと向かう昭和期に入って最終的な完成をみた。むずかしく見える彼の理論は、実は、「昭和」と「戦争」の深い影響のもとにつくられたものでもある。第8回目となる本講義では、和辻哲郎の倫理思想を、戦争という時代状況において、立体的に把握することにする。「危機の時代」という点で、それは東日本大震災を経験した、現在にすら、リアルなものに見えるだろう。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、前回指示した著作を精読し出席することを求める。復習は、さらに講義を聴いた上で、著作を読み直し、理解を深めることを求める。
9(概要) 昭和期の倫理思想②――日本のロマン主義
(内容)昭和期には、戦争へむかう時代状況のなかで、様々な「改革案」が叫ばれ、提案された時代だった。なかでも「ロマン主義」と呼ばれる文学芸術運動は、危機の時代の人間がどのような存在なのかを深く思索した思想家を生みだした。本講義では、複数の人物を取りあげつつ、過酷な時代を生きた人びとが何を考えていたのかを学ぶ。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、配布したプリントを再読し、戦争へむかう時代が、いかに複雑な状況だったのかを理解することが望ましい。
10(概要)戦前の倫理思想をふりかえる――これまでのまとめ
(内容)第10回目となる本講義では、これまでの明治?戦前期の講義をふりかえり、まとめる授業を展開する。具体的には、これまで取りあげた思想家の発言を通史的に復習し、倫理学とは何かについて、一定の定義を施したい。
(運営方法)講義形式に加え、積極的な質疑応答を求める。
(予・復習)予習として、これまでの講義で配布したプリントを通読することが望ましい。復習は、授業自体が復習的要素を含んでいることから、今回は特に求めない。
11(概要)戦後の政治と倫理思想――江藤淳と丸山眞男
(内容)戦争体験をふまえて、戦後には多くの思想が生まれた。本講義では、江藤淳と丸山眞男という、対照的な二人の人物が考えた「理想の日本人像」を考えてみる。それは言い換えれば、理想の人間の生き方、あり方を語っているのであり、明確に倫理学だと言える。それぞれの人間イメージは大きく違っているが、その違いは私たちに何を投げかけるのか?「倫理学1」とは異なる角度と時代の発言に注目する。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は特に求めない。復習は、講義で配布したプリントを熟読し、教員が指定した教科書? 『違和感の正体』および参考書『ナショナリズムの復権』の該当箇所を通読することを求める。
12(概要)戦後の文学と倫理思想――坂口安吾と三島由紀夫
(内容)文学とは、一見すると現実とかけ離れた空想の別世界をつくりあげているように見える。しかしそれは誤りである。深刻な戦争体験を経た二人の「文学者」は、それぞれの考える戦争観、人間観、日本観をもち、それをエッセイや評論作品として残した。その言葉のなかに、現代社会にまでつながる生き方のヒント、「人間の学としての倫理学」(和辻哲郎)を探りだす。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、講義で配布したプリントを熟読し、教員が指定した比較的短文の作品を読んでおくことが望ましい。
13(概要)戦後の評論と倫理思想――吉本隆明
(内容)戦争から15年を経た1960年代は、日本にとって大きな意味をもつ時代の分岐点であった。「60年安保闘争」と「68年全共闘運動」は、その象徴的な事件であった。「政治の季節」とも呼ばれるこの時代は、いった何が問題とされていたのだろうか。時代背景を説明するとともに、吉本隆明という知の巨人の発言を詳細に追うことで、その人間観に迫る。「倫理学1」とは異なる角度からの考察となる。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、上記11・12回の戦後倫理思想史を復習しておくことが望ましい。復習は、教員が指定した教科書? 『違和感の正体』および参考書 『ナショナリズムの復権』の、該当箇所を通読することを求める。
14(概要)現代社会と倫理思想――バブル景気からオウム真理教事件まで
(内容)「倫理学1」の授業でも取りあげた現代社会について、日本の倫理思想を学んできた今、どのように新しい見方ができるだろうか。このような問題意識に基づいて、本講義では、1980年代以降の現代日本社会を中心に論じた複数の思想家の発言をみることで、? 現代人はどのような社会を生きているか、? その生き方はどのような課題を抱えているかを論じる。
(運営方法)講義形式
(予・復習)予習は、特に求めない。復習は、講義中に紹介した文献のうちから一冊を選び、通読することが望ましい。
15(概要)本講義のまとめ――倫理学とは何か
(内容)全14回にわたった倫理学、特に、近代日本人の倫理思想をまとめる。過去の知見を手にした今、私たちは自分の身の回りについて、他ならぬ自分自身の生き方について、目が覚めたような感覚に襲われるのではなかろうか。「2011年の東日本大震災を経験した日本を生きる人間として、どのような生き方が求められるのか」――危機管理学を学ぶ以上、こうした問いは避けることができないであろう。
(運営方法)レポート形式の小論文を課す
(予・復習)予習は、これまでの講義で配布されたプリントを通読することが望ましい。復習は、講義全体をつうじて紹介した文献のうちから一冊を選び、通読することが求められる。
関連科目 宗教学2・近代史2  
教科書 ?  先崎彰容他、『アフター・モダニティ』、北樹出版                                              ?  先崎彰容、『違和感の正体』、新潮新書  
参考書 先崎彰容、『ナショナリズムの復権』、ちくま新書  
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